25. 最後の聖戦 The Last Crusade

作品について

このエピソードは1989年に公開されたインディ・シリーズの劇場公開作品第3弾である。また、DVD版では一部の特撮シーンで合成処理の修正などが行われている。

『魔宮の伝説』の公開から5年後、もう続編はないと思われて久しかった時期での製作発表には驚かされた。内容的には1作目の『レイダース』の続編であり、マーカス・ブロディやサラなどの懐かしいキャラクターが再登場すると共に、ショーン・コネリー演じる父ヘンリー博士や、リバー・フェニックス演じる若き日のインディの登場など、その後のヤング・インディ・シリーズのアイデアへと繋がる新しい試みがなされた。アカデミー賞では3部門にノミネートされ、音響効果編集賞のオスカーを獲得している。

なお、『最後の聖戦』はヤング・インディのシリーズ再編の際にタイムラインに沿ってチャプター25とされたが、その後、映画三部作は別枠で扱われるようになった。だが、当サイトでは引き続きチャプター25として扱っている。

ストーリー

1912年 ユタ Utah - 1912

ユタ州の砂漠でボーイスカウトの演習を行っていたインディ少年は、偶然にも岩山の洞窟の中でコロナドの十字架を発掘している数人の男たちを発見する。彼は、この十字架は博物館に収めるべきものだと考え、盗掘者たちの目を盗んで奪い取ると、全速力で逃走するのだった。盗掘者たちも必死にインディを追い、彼らはサーカス団の列車の上で熾烈な争いを演じることになる。最終的にインディは十字架を持って脱出に成功すると、家へと戻るが、父のヘンリーはまったく相手にしてくれない。駆けつけた警官たちも既に盗掘者たちのスポンサーに買収されており、十字架は白いパナマ帽の男の手に渡ってしまうのだった。

1938年 ポルトガル沖 Portuguese Coast - 1938

嵐の海を航行する貨物船の甲板で、インディは25年ぶりにコロナドの十字架を手にしていた。だが、彼は屈強の水夫たちに捕まってしまい、そこにかつてとまったく同じ姿で白いパナマ帽の男が姿を現す。男はインディから十字架を取り戻すと、彼を殺すよう指示するのだった。だが、インディは反撃に転じ、再び十字架を奪って海へと飛び込む。次の瞬間に貨物船は大爆発を起こし、インディはついに半生を掛けた宝物を取り戻したのである。

1938年 ニューヨーク New York - 1938

数日後、バーネット大学の教壇に戻ったインディは、マーカスにコロナドの十字架を渡して帰宅しようとするが、大学の構内で謎の男たちに呼び止められる。彼らはマーカスの博物館のスポンサーの1人である大富豪、ウォルター・ドノヴァンの使者だった。ドノヴァンはキリストの血を受けたとされる聖杯を探しており、既にその手掛かりをいくつか発見していたのだ。聖杯はそれに注いだ水を飲む者に永遠の命を与えるとされており、中世史学を専門とするインディの父ヘンリー教授が人生を捧げた対象でもあった。そのためインディはヘンリーが適役だと推薦する。しかし、ドノヴァンによるとヘンリーにも既に協力を依頼していたが、彼は捜索の途中で行方不明になったのだという。インディは父が送ってきた聖杯日誌を手にすると、マーカスを連れてヘンリーが消息を絶ったベニスへと出発するのだった。

1938年 ベニス Venice - 1938

ベニスに到着したインディはヘンリーの助手をしていたという美しいエルザ・シュナイダー博士と合流し、父が最後に調査していたという古い図書館へと向かう。そこで彼は聖杯日誌を頼りに地下の洞窟を発見し、ネズミの大群に出くわしながらも、聖杯を受け取った十字軍兵士の兄弟の亡骸と、聖杯への手掛かりとなる盾を発見するのだった。しかし、マーカスが謎の一団によって拉致され、インディとエルザも彼らの仲間によって襲撃される。十字剣兄弟団と名乗る襲撃者たちは代々聖杯の秘密を守っており、インディたちの捜索を妨害していたのだ。だが、インディは聖杯ではなく父を捜しているといい、兄弟団の1人カジムの協力を得ることに成功する。ヘンリーはドイツ=オーストリア国境のブルンワルド城に監禁されているというのだ。

1938年 ドイツ Germany - 1938

マーカスは先に聖杯を探すためアレキサンドリアへと向かい、サラーと合流することになる。一方、インディとエルザはヘンリーを救出するためブルンワルド城へと行き、そこがナチスの要塞となっていることを知るのだった。ナチスも聖杯を探していたのである。そしてインディは城内で簡単にヘンリーを見つけるが、すべては罠だった。エルザはナチスと手を組んでおり、その背後にはドノヴァンが黒幕として控えていたのである。ドノヴァンはマーカスが聖杯の在り処を示す地図を持っていることを知ると、直ちに彼を捕らえるよう命じ、ジョーンズ親子にもヒトラーから直々に処刑命令が下される。マーカスはサラーと合流した直後にナチスによって拉致されるが、ジョーンズ親子はなんとか城を脱出し、エルザが持っていった聖杯日誌を取り戻すべくベルリンへと向かうのだった。

インディはベルリンで聖杯日誌を取り戻すと、飛行船でドイツからの脱出を図る。この空の旅で、断絶していた親子は久しぶりの和解を遂げるのだった。だが、すぐに飛行船は旋回を開始し、ドイツへと戻ろうとしはじめる。インディは備え付けの複翼機で脱出し、ナチスの戦闘機との空中戦を繰り広げるが、すぐに不時着を余儀なくされた。しかし、ヘンリーの機転によって2人は窮地を脱し、サラーと合流することができたのである。

1938年 ハタイ共和国 Republic of Hatay - 1938

聖杯の眠る三日月の谷はハタイ共和国の領土内にあるため、ドノヴァンとナチスは共和国のスルタン(オスマン・トルコにおける最高権力者の呼称)を懐柔し、協力を取り付けていた。そして彼らは戦車で聖杯を目指すが、突如として十字剣兄弟団の襲撃を受けることになる。しかし銃撃戦の末、兄弟団は壊滅し、マーカスを探しにナチスの戦車に乗り込んだヘンリーも敵の捕虜となってしまう。インディはヘンリーを助けるため単身で馬に乗り、戦車に挑んだ。やがて戦いはナチスのヴォーゲル大佐との一騎打ちとなり、最終的に2人は戦車ごと谷底に転落するが、インディは間一髪で命を取り留める。そしてインディ、ヘンリー、マーカス、サラーはドノヴァンとエルザを追い、三日月の谷へと向かうのだった。

彼らが聖杯の眠る太陽の神殿へとたどり着くと、既に到着していたドノヴァンたちは、聖杯を守る3つの仕掛けに苦戦していた。するとドノヴァンはヘンリーを銃で撃ち、インディに聖杯を取りに行くよう命じる。父を救うことができるのは聖杯の持つ癒しの力だけだというのだ。インディは聖杯日誌に書いてあるヒントに従い、命を奪う3つの仕掛けを順に切り抜けると、ついに十字軍の兄弟の最後の1人と遭遇し、無数の聖杯を発見するのだった。しかし、本物のは1つだけであり、ドノヴァンは偽物の力によって絶命する。続いてインディは本物の聖杯を手にし、ヘンリーの傷を癒すことができた。だが、永遠の命が維持できるのは神殿の中だけであり、エルザが聖杯を持ち出そうとすると神殿の崩壊が開始される。彼女はそのまま奈落の底へと落ちて行くが、同じく聖杯に手を伸ばしたインディはヘンリーの説得を受けてそれを放棄した。聖杯は失われたが、ジョーンズ親子は仲間とともに故郷へ帰ることができたのである。

トリビア

Presented by じょじょ♪ <webmaster@starwars.jp>  (http://www.indiana.jp/